2011年2月16日水曜日

ガンジス川のほとりで

ガヤガヤした場所を抜け、船は静かなところまで登っていった。



ほとりで炎が上がっていた。

焚き火くらいの小さな炎。







そこは火葬場。






周りに日本のような火葬施設があるわけではなく、木を摘んだそこへ死体を置き、そのまま火をつけるというシンプルなもの。


「写真は控えてください。」

ガイドのアジャーシさんは静かに言い、目を瞑り手を合わせた。





私は人が焼ける炎を初めてみた。




それはそれは鮮やかなオレンジの光だった。







そのヒトが生きた入れ物が、空気に煙となって立ち込める。







体は空気と土と水になる。




ヒトも自然なのだと実感した。







最後の灯火を皆に見せて、そのヒトは静かに灰になっていった。







煙は天へ、体は土へ、



瞳はガンジス川に流れ、そこから新しい世界を見るのだろう。








家族がそれを静かに眺めている。

その表情は悲しみの中であるが、どこか安心した表情だった。







この川で最期を迎えようと、インドを歩けど、ここまでたどり着けず道で力尽きる者がたくさんいる。私が見た炎の中の人物は、幸せ者。




家族に見とれられ、観光客にまで見とれられ、




あたしの心の中に刻まれた。


















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