2011年5月23日月曜日

おじいちゃんの昔話 ~ 蚕 ~

昨日実家に帰った時に、おじいちゃんが私に教えてくれたお話ですキラキラ
わたしの家は昔、繭の生産をしていました。繭を作る虫、蚕を買っていました。
蚕は桑の葉を主食とします。
蚕が繭を作るまで、じいちゃんは毎日毎日、蚕に桑の葉を与えたそうです。
ある朝、蚕小屋を見た時、じいちゃんは言葉を失いました。
箱の中の蚕が、直立に立ち上がり、震えながら、黄色い液体を垂らしていたそうです。
(何が起きたんだ?)
事態を把握する事が出来ず、立ち尽くしていたそうです。
理由は後々わかりました。
食べさせていた桑の葉に農薬がついていたのだそうです。
農薬は蚕にとって劇薬で、その農薬を少しでも身体に入れた蚕は、繭を作れなくなり、作れたとしても、奇形になります。
じいちゃんは桑の葉を買った方に、「どうしてくれるんだ!!」と怒りました。
桑の葉を売る方は「うちは農薬なんぞで育ててない!!」と言います。
では何故?
原因は他にありました。
桑の葉を生産している畑の隣の畑で、農薬を使って野菜を育てていて、その農薬が風に乗って桑畑まで飛んできた為にそんな事が起こったとか‥‥
誰も何も責められませんでした。
農薬は目に見えないもの。
どこについているかも分かりません。
じいちゃんは蚕に桑の葉を食べさせる度に、今度は大丈夫か。苦しがっていないか。と、神経を擦り減らしていました。
そしてまた、繭の出荷を迎える当日に、蚕が苦しがっている姿を目の当たりにし、
ごめん、ごめん‥
涙を流したそうです。
苦しくて苦しくて、のたうちまわる事もせず、ひたすら震えながら、立ち上がる蚕。
時代は巡り、
蚕での糸の生産の需要が減って行き、私の家でも蚕を手放す事になりました。
今回の原発事故を見て、じいちゃんは蚕を思い出したそうです。
誰も悪くない。
でも目に見えないけど、草木や虫には致死量の何かが飛んでいて‥
人間は言葉を発っせて、逃げる足もあるけど、
言葉の無い生物はそこに居続けなきゃいけない。
でも、誰も何も悪くない。
じいちゃんはテレビで原発の映像を見る度に、
蚕が苦しがっている姿が頭をよぎると言います。
はれときどきくもり-DSCF455100010001.jpg

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