2012年10月11日木曜日

性善説と性悪説

性善説…人は生まれながらにして善い者である。

性悪説…人は生まれながらにして悪である。


あるエッセイ本を読んでいて、日本人は性善説で子供を育て、外国の多くの国では性悪説で子供を育てているようだと書いてあった。

日本人の子育てに登場する昔話は、必ずハッピーエンドで終わる物が多いのに対し、海外の物語はバットエンド物も多く見かける。


人間、基ははみんな良い人。支えあげれば悪いと思う人でもきっといい人に戻る。

そんな解釈をして子供を育てることが多いけど、そのエッセイ本では、世の中は怖いものだらけ。だから自分をしっかり持って生きなさいという教えが多いとの事だった。


我が家はそう考えると性悪説が主流であったと気づく。

物心がついたころから、「社会は怖いところだからな。生き馬の目を平気で抜くような世界が待ってるんだからな。だから礼儀を持って生きるんだぞ。」と、強く、強く言われて育ってきた。

泣いて嫌だといったのに、小学校終了の春休みに、無理矢理海外に連れて行かれ、「日本は狭い。世界を視ろ。」と尻を叩かれた。


もう…怖い世界に行きたくないよと下ばかり向いていた私の顔を、無理矢理上げたのは父親だった。

海外の乗り物に乗ったときは気をつけろよ。すぐにひったくられるからな。

そんな事を言われながら父親と廻ったヨーロッパ旅行。そこで見た世界は、日本とは違う生々しい貧富の差。そして、一人では生きていけないと思われるような別世界。

世界は怖い…

下を向き、下を向き、すれ違う人を見る事を怖がりながら歩いた世界。



しかし、私の性悪説を打ち砕いたのも世界だった。
「ほら、夜景を見てみろ。」

と言った先に広がったのは、夜の街を抜け、ある教会から見た海外の夜景だった。

淡いオレンジ色に染まった家々の明かり。柔らかかったし、「あれ?世界は意外と優しいかも」

そう思える優しい光であった。

そこから顔を揚げて世界を視たら、広くて、明るくて、びっくりするくらい心地よい。

あぁそうか。私が怖がっていたのは自分自身。悪は自分にあったのだと気づく。
もっと世界を視たい。もっと…


私の家はさほど優しくなかったし、怒るときは手も挙げられた。怒鳴られもしたし、父親はひどく厳格で、家族の絶対的存在であった。
厳しかったけれど、色々な世界に連れて行ってくれ、
色々な善悪をいやというほど、私に叩き込んでくれた。









そんな絶対的な父親が、癌になった。


癌の報告を受けたのが先週で、見たくない現実を突きつけられて一週間。

「お前が社会人になって、お金を自分でかせげるようになったらな、仕送りなんていらないから、色々なところに連れて行ってくれな。お父さん、お前とお母さんと旅行に行けることが一番いい。」

そんな事が口癖だった父親。

お父さん、私はあなたの子育てにまんまと乗ったようですよ。

親はまだ元気だとか言える歳でもないことが、身に染みて感じた出来事。

私もお父さんが元気なうちに、お父さんの望む立派な善になって、悪から巣立ちたいと思うんだ。

だから、長生きしてね、お父さん。







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