外来を通ったとき、あるおばあちゃんから深々と頭を下げられました。
その顔を見たとき、ホッとしたと同時に、地震の記憶が呼び起こされました。
そのおばあちゃんは地震当日、私と一緒にいたおばあちゃんでした。
地震当日。
そのおばあちゃんは外来の自販機の横で、不安げな目をして震えながら立っていました。
一人でした。
私はスタッフ用ヘルメットを被っていたので、おばあちゃんへそれをかぶらせ、一緒にいました。
「大丈夫ですよ。大丈夫ですよ。」もはや自分を落ち着かせるよう、私は口にだしていた記憶があります。怖くて、誰かを守っていなきゃ、自分を落ち着かせる術はなかったと思います。
「こんなの初めてだ~。」とおばあちゃんは少し涙目で訴えます。
「ヘルメットかぶってれば大丈夫ですよ。一緒にいましょう。みんなと一緒に動けば安心です。」
その言葉も自分を落ち着ける為に言いました。
怖くて仕方ありませんでした。
名前も知らないおばあちゃんの肩を叩きながら言い聞かせていました。
余震が少しおさまると、おばあちゃんは家族が迎えに来てくれ、病院の外へと出ていきました。
外来でおばあちゃんと逢ったとき、言葉交わさずとも、お互いの安否を確認しました。
おばあちゃんが頭を下げてくれる姿を見て、私はとりあえず元気に見えるよう笑顔を作っていました。
お家に帰っても大丈夫だったんだね。
元気な姿が見れて良かった。
生きてて良かった。
そして、そのお辞儀が、あたしの心をギュッとしめつけ、
そこが廊下でなければ、うっかり泣いてしまいそうになりました。
名前も知らないけど、あたしと一緒にいてくれてありがとう。一緒に戦ってくれてありがとう。おばあちゃんのおかげで、ほんとに少しだけ、強がってられたよ。
地震とかそういう災害には、人と人を繋げる力があると思いました。
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